よくある質問

病気やけがをしたとき

保険だけで、歯の治療はやってもらえますか?

むし歯や歯槽膿漏(歯周病)などの歯の治療も、ほとんど健康保険で受けることができます。しかし、歯を削った後に冠をかぶせたり、歯を抜いた後に義歯を入れたりする場合に使用する材料や方法によっては、保険がきかなくなる場合があります。納得した治療を受けるためには、診療のしくみをよく理解するとともに、治療に入る前に歯科医とよく相談して、トラブルの起こらないようにしてください。

3本立ての歯の治療方法

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保険診療

最初から最後まで、すべて健康保険でみてもらえる。自己負担はかかった医療費の3割(義務教育就学前2割)(入院時の食費は別途自己負担)。

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自費診療

保険で使えない貴金属材料や方法を希望した場合で、技術料など医療費全額を自己負担。

自費診療となると、場合によっては数十万円もかかることがあります。自費診療とは材料だけでなく、その治療やアフターケアも含めて保険外での治療をするということです。自費診療を希望するときは、保険による材料や治療とどこがどう違うのか、費用はいくらくらいかかるのか、などを治療を始める前によく聞き、十分納得したうえで治療を受けることが大切です。

歯を修復する材料には、金銀パラジウム合金(銀白金の合金)など比較的安いものから、金合金や白金加金などの非常に高い貴金属までいろいろあります。貴金属は産出量が限られ高価なため、保険で自由に使うことができません。そして、この貴金属を希望した場合には、治療全体にかかった費用を自己負担することになります。

しかし、この自費による治療は、あくまでも患者が保険外の材料や治療を希望したときに行われます。

3

材料差額診療

前歯の鋳造歯冠修復・継続歯、金属床総義歯に限り、保険で使えない材料を希望した場合、保険診療との差額分だけを負担。

歯の治療はこのように行われます

歯冠修復(むし歯で欠けた部分を、つめたりかぶせたりする方法)

1

充てん

治療の方法

むし歯の部分を削り、人工の材料を詰めて元の形に修復する方法。

保険診療

アマルガム、硅酸セメント、複合レジン、グラスアイオノマーセメント、初期う蝕小窩列溝填塞材など

自費診療

ハイブリッドセラミックスなど

2

鋳造歯冠修復(インレー・クラウン)

治療の方法

むし歯を削り、その型をとって模型上で詰めものを作って元の形に修復する方法。部分的なものをインレー、全体にかぶせるものをクラウンという。

保険診療

14カラット合金(ブリッジの支台となる前歯のみ)、金銀パラジウム合金、銀合金、ニッケルクロム合金

自費診療

カラットを超える金合金、白金加金、ハイブリッドセラミックスなど

差額診療

前歯部に14カラットを超える金合金、白金加金を用いた場合は、金銀パラジウム合金との差額を負担

3

前装冠

治療の方法

人から見える部分に、陶材やレジン(合成樹脂の一種)を前に被せ、外見を審美的に装った鋳造冠。通常前歯に使われる。

保険診療

硬質レジン前装冠

自費診療

メタルボンド(陶材焼付前装冠)など

4

ジャケット冠

治療の方法

前歯をさらに削り、天然の歯に類似した色調をもつ材料だけで歯の表面をおおうように作られた冠をかぶせるもの。

保険診療

レジン、硬質レジン

自費診療

ポーセレンなど

欠損補綴(なくなった歯を人工歯で補い、元どおりにする方法)

1

ブリッジ

治療の方法

なくなった歯に隣接する歯に冠をかぶせ、それを土台に人工の歯を固定装着する方法。人工歯をダミー、支えの歯を支台歯という。

保険診療

14カラット金合金(前歯のみ)、金銀パラジウム合金、ニッケルクロム合金、銀合金、レジン歯、硬質レジン歯、陶歯、硬質レジン前装冠(前歯のみ)

自費診療

メタルボンド、前歯に14カラットを超える金合金、白金加金、奥歯に金合金、白金加金など

2

有床義歯(入れ歯)

治療の方法

とりはずしのできる入れ歯。部分的に歯がない場合の部分入れ歯と、歯が全部ない場合の総入れ歯とがある。部分入れ歯は、歯を抜いたあとに義歯のついた義歯床を乗せて支え、残った歯にバネや鉤、バーなどの装置を使い安定させる。総入れ歯は歯のなくなった歯肉に床を吸いつかせて使う。

保険診療

義歯床に、アクリリック樹脂、スルフォン樹脂。
人工歯に、レジン歯、陶歯、スルフォン樹脂レジン歯。
バネ・バーなどに、14カラット金合金(2歯欠損までの義歯)、金銀パラジウム合金、コバルトクロム合金、ニッケルクロム合金、ステンレス鋼

自費診療

部分入れ歯に金属床を用いたときなど

差額診療

総入れ歯の金属床はスルフォン樹脂床などとの差額を負担

賢い歯科医のかかり方

必ず、歯科医から“治療は終わりました”と言われるまで通院してください。

痛みがなくなったとしても、決して治っているわけではありません。きちんとした処置をしないと、どんどん悪化し、次に痛くなったときには今まで以上に大変な治療を受けることになります。また、医療費も、悪くなればなるほど高くなります。

8020(ハチマルニイマル)運動

「8020運動」というのは、80歳で20本の歯を保とうという、厚生省(当時)が始めた運動です。これは、使える歯が20本以上あれば、たいていの物は食べられることから、一生自分の歯で食べられるようにしよう、ということです。

しかし、実際は75歳以上で平均約5本しか残っていません。80歳で20本の歯を残すためには、何より日頃の歯の健康管理が大切です。
「8020」を目標に、歯の健康管理に努めましょう。