年齢ごとに健康課題は変化します
用語解説
| メタボリックシンドローム | 内臓脂肪に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさることにより、心臓病や脳卒中などになりやすい病態 |
|---|---|
| サルコペニア | 高齢になるに伴い、筋肉の量が減少していく現象。25~30歳ごろから進行が始まり、生涯を通じて進行する |
| ロコモティブシンドローム | 骨や関節の病気、筋力の低下、バランス能力の低下によって転倒・骨折しやすくなることで自立した生活ができなくなり、介護が必要となる危険性が高い状態 |
| フレイル | 要介護状態に至る前段階として位置づけられるが、身体的脆弱性のみならず精神心理的脆弱性など多面的な問題を抱えやすく、自立障害や死亡を含む健康障害を招きやすいハイリスク状態 |
退職後から気を付けたい病気
① 各種がん
60歳以上の死因別死亡率が高い疾患に、悪性腫瘍があります。悪性腫瘍の原因はまだ明らかになっていない部分も多くありますが、ウイルスや遺伝の他、喫煙や塩分・脂質の取りすぎ、運動不足などの生活習慣が関係していると言われています。がん検診を受け、早期発見・適切な治療を努めるだけでなく、生活習慣の改善を引き続き心がけることも重要です。
がんの危険因子といわれているもの
喫煙・受動喫煙、運動不足、多量飲酒、野菜・果物不足、肥満、塩分の取りすぎ
国が推奨するがん検診(各自治体でも実施している場合があります)
| 種類 | 検査項目 | 受診間隔 |
|---|---|---|
| 胃がん | 問診及び胃部エックス線検査、または胃内視鏡検査 | 2年に1回 |
| 肺がん | 問診、胸部エックス線検査(重喫煙者のみ喀痰細胞診) | 年に1回 |
| 大腸がん | 問診及び便潜血検査 | 年に1回 |
| 乳がん | 問診及び乳房エックス線検査(マンモグラフィー) | 2年に1回 |
| 子宮頸がん | 問診、視診及び子宮頸部の細胞診・内診 | 2年に1回 |
がん検診は症状のない人が対象です。受ければよいというわけではなく、受けることによる不利益もあります。利益と不利益を理解し、受診しましょう。症状がある場合はすぐに医療機関を受診してください。
② 循環器疾患
60歳以上の死因別死亡率は、循環器に関連した疾患も高くなります。循環器に関連した疾患は、生活習慣に起因することが多いようです。健康診断をしっかりと受け、身体の状況を確認して生活習慣を改善していきましょう。
もし受診が必要だと判断された場合は、適切な治療を受けましょう。
③ ロコモティブシンドローム
運動器の障害をきっかけに日常生活の自立度が下がりやすく、要介護の原因として現在注目されています。
運動習慣を持ち、今ある筋力を保つことが大切です。
ロコチェック
- CHECK
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- 片脚立ちで靴下がはけない
- 家の中でつまづいたりすべったりする
- 階段を上がるのに手すりが必要である
- 家のやや重い仕事が困難である(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)
- 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である(1リットルの牛乳パック2個程度)
- 15分くらい続けて歩くことができない
- 横断歩道を青信号で渡り切れない
- ※一つでも当てはまれば、ロコモティブシンドロームの心配があります。現在の便利な社会では知らない間にロコモティブシンドロームになっていたり、進行していたりするようです。回復機能があることも最大の特徴ですので原因は何かを見極め、状態に合わせて適切に対処することも必要です。心配な方は専門機関へ相談しましょう。
④ 認知機能の低下
加齢とともに認知機能が低下すると記憶があいまいになったり、時間や場所、人の名前などを正しく認識できなくなったりします。体験したことの一部分を忘れてしまうことは加齢による生理的な「物忘れ」ですが、体験した出来事自体を忘れてしまうようになると、加齢によるもの以上の認知機能の低下「認知症」が疑われます。
「認知症」は、「軽度認知障害(MCI)」を経て認知症にいたります。「軽度認知障害(MCI)を放置しておくと「認知症」に進行しますが、適切な予防をすることで健常な状態に戻る可能性もあります。早めの対処が必要です。
軽度認知障害(MCI)とは…
軽度の記憶障害や注意力の低下がみられるものの、一般的な認知機能に問題がなく、日常生活に影響がない状態。
5年以内に50%近くが認知症に移行すると言われ、一方で認知機能が正常に戻る人の割合は14~44%と言われています。
「認知症」との違い
- 自立した生活を送ることができる
- 「もの忘れ」の自覚がある
セルフチェックリスト(思い当たる症状がある場合にはかかりつけ医に相談しましょう)
- CHECK
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- 1日のうちに同じ会話を何度もすることが多くなった
- 短時間で同じ質問を何度も繰り返す
- 掃除や料理の段取りが悪くなってスムーズに行えない
- 外出するときに服装や髪形がちぐはぐでも気にしない
- 最近会った人の名前や、仲の良い人の名前をなかなか思い出せない
- ものを置いたらすぐにどこに置いたかを忘れることが増える
- 道に迷う
認知症にならないために…
薬物療法もありますが、普段より運動したり、バランスの良い食事を摂る、パズルやゲームを楽しむ、コミュニケーションをとる、など脳を活性化することが大切です。
- CHECK
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- 脳トレやゲーム、有酸素運動を毎日継続して行う
- 野菜や青魚を中心にビタミンやたんぱく質などの栄養素をしっかり摂る
- 将棋や囲碁、麻雀など手を動かして頭を使うレクリエーションや趣味を持つ
- サークル活動などを通して人と積極的にコミュニケーションをとる
など
体調が変わりやすい退職後は、メディカルチェックは自分から受けに行く必要があります。
体調がおかしかったり、物忘れが多くなったりして「いつもと違う!」と感じたら、かかりつけ医へ相談する、またはご自身の居住する市町村の健診等を受けることや、セミナー等に参加するなど情報収集しながら積極的に健康管理に努めてください。
これからも「健康寿命」を延ばしていきましょう!!